インフルエンザ(2001年秋)について

提供 千住 博 内科
文責 千住 晋

インフルエンザの情報です
この文章は、学会の一般的な考え方に沿っておりますが一部独断が入っています。

インフルエンザウィルス
  RNAを核に持つ直径80−110nmのorthomyxovirus群のウィルスです。A,B,Cの3種の亜型に分けることができますが、ヒトに感染するのはA,Bのみです。H5N1とかお聞きになると思いますがこれは表面の抗原蛋白です。見つかった順にH、Nそれぞれ1番から番号がついています。

インフルエンザの症状
小児
40度程度の発熱、咽頭痛、頭痛、腰痛、関節痛、倦怠感が強くでて3−4日で解熱し鼻漏、咳嗽などがでる。この後もう一度発熱することもある。
成人
高熱、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの全身症状が主体でそのほかに咳嗽などの呼吸症状も伴う。
高齢者
成人と同様の症状がでる場合が多いが、全身症状が弱く気づかれ難いことがある。このとき治療が遅れることがある。


インフルエンザの問題点
1) 今まで「風邪」と混同していたため重症化する病気との認識が、一部の医療関係者や患者さんにない
2) 小児では脳炎、脳症の原因となる事がある。 亡くなったり後遺症を残す事がある。
3) 高齢者では、肺炎を併発することが多い。手遅れになり死亡したり、インフルエンザは治っても寝たきりになったりすることがある
4) 病院や集団生活をしている所で蔓延しやすい


予防方法
1) インフルエンザワクチン 中学生以上は、シーズン前に1回打ちます。小学生以下は、2回打ちします
2) 抗インフルエンザ薬  基本的には、治療薬ですがワクチン接種できない方などで予防内服する事があります。
    また、患者さんのご家族で乳幼児、高齢者、受験生など短期間予防したいときにも使用する事ができます。


治療方法
1) 安静
 まず安静が1番です 学校仕事があると思いますが長引かせると二次感染等が増加します
2)解熱剤、その他の対症療法薬
 成人では使用しますが 小児では患者さんの容体によって使用するかどうか決めます
3)抗生剤
 基本的には二次感染があるときに使用します
4) 点滴
 高齢者では食事が摂れなかったりしたときに水分、栄養を補給するために行います
5)抗Aインフルエンザ薬
 A型には有効であるがB型には効きません またできるだけ早く最長でも48時間以内に使わなければ無効です
6) ノイラミニターゼ阻害剤
 A、B両方に有効だとの報告があります



インフルエンザワクチンについて
1)ワクチン株決定方法  世界中の拠点で感染株の解析を行い流行しそうな株を予想する 毎年3種類以上の株が含まれています
   
2001年シーズンの株は、以下のように決まりました
A/ニューカレドニア/20/99(N1H1)
A/パナマ/200/99(H3N2)
B/ヨハネスバーグ/5/00

2)製造方法  有精子卵にウィルスを接種培養する これを精製濃縮し不活化し濃度を整えて製品とする
3)接種方法  小学生以下は、2回。中学生以上は、基本的に1回接種します。

ワクチンの問題点
1)ワクチン株決定  ウィルスは常に変異を続けておりワクチン株と全く同じ株ではない  最近はあまりないが予想と異なった株が流行することがある
2)製造方法  有精子卵でなければならないために急に増産しようとしても鶏卵が入手できない 卵アレルギーの人では使用できない
3)抗体産生  接種して体内に抗体ができるまで時間がかかるため流行してから接種しても有効度が低い

ワクチン接種を受けた方がいい人
1)65歳以上の高齢者
2)慢性気管支肺疾患患者
3)心疾患患者
4)腎疾患患者
5)代謝異常患者
6)免疫不全患者
7)医療関係者、高齢者と接することの多い福祉施設職員

ワクチン接種を受けない方がいい人
1)発熱している人
2)重症の急性疾患にかかっている人
3)今までにワクチンで副作用がでたことのある人
その他に卵鶏肉アレルギーの人は 医師に相談してください


 欧米では、高齢者とハイリスク小児に積極的にワクチン接種を行っているが、日本では任意接種になってから接種する人が減少し今ではワクチン生産量が減少している。このため最近2−3年は流行してから接種希望する人がいてもワクチンが不足し、接種できない人がいらっしゃいます 予防接種法の改正案が国会に提出されておりこの法律が可決されると65歳以上の方の接種費用の一部が公費でまかなわれる予定です(テロ事件で国会の審議が遅れています)

ワクチン接種希望の方はお近くの保健所、医師会、医療機関におたずねください



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